みーぽんBLOG from カリフォルニア
カリフォルニアから時事、政治、環境、日米比較などランダムに綴ります
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父との対話:新自由主義と煽られる不安
先日、久しぶりに実家の父親とゆっくり話しました。わたしの父親は10年以上前から、「日本は資源が無いと言うが、休耕田でどんどんバイオ燃料になる作物を植えればよいのだ。」と言っていた人で、今回それに言及したら、「いやあ、ぼくの先見の明は早すぎだったな。」と申しておりました。

わたしの父親は工学系のエンジニアで、退職後も「嘱託」という形で元の会社に週に何度か顔を出しつつ、趣味の音楽の演奏をし、という、理想的なシニアライフを楽しんでいます。

わたしが「ローマ人の物語」の文庫を買い続けているのを知り、「新しいのを買ったか、貸せ」とせかしては持っていきます。父と話すと、歴史、社会、政治、科学、音楽、色々な話題で盛り上がります。
今回は当然選挙の話にもなり、都民の父親は「元宮城県知事に入れてみようかと思う。」と申しておりました。

うちの父親というのは、中道も中道、右見て、左見て、ちょうど中間点にいよう、とするような感じの人です。靖国問題では「戦犯の合祀はいかん。」というけれど、「産経新聞はいいぞ。」とかね。(どこがいいと言っているのかは聞き忘れましたが。)

その父親と話していて、「最近の日本はやはりおかしい、昔は中学生が家を放火して兄弟も殺す、とか、異性が思い通りにならないから殺すといったことはなかった。」と言い出しました。

あああ、うちの父親までもが!わたしは犯罪統計の話をして、日本が昔より犯罪が増えた、というのは嘘だ、と説明しようとしました。「お父さん、昔だって『情痴事件』とかいっぱいあったし、昔だって親殺し、子殺しはもっとあったし、メディアが煽ってるだけで、最近は『強盗殺人』とか聞かなくなったでしょ?犯罪率は決して上がってないんだよ。」

と言っても、父親は言い張ります。「昔はマンホールのふたを盗むとか、半鐘を盗むなんかありえなかった。昔は『キレる子供、学級崩壊なんぞなかった』」まあそこで私も、「確かに共同体が崩壊してしまったゆえの犯罪、というのは増えているだろうねえ」とちょっぴり同意。

「でもさあ、昔だって犯罪はあったけれど、高度成長で希望があったから、社会が明るかったんじゃない?今の犯罪って貧しいからというより、『希望が持てないから』起こすので異常さが目立つんじゃないかなあ」と話を振ったら、「たしかにお父さんの世代は、申し訳ないけど逃げ切っちゃったんだよな、高度成長で残業ばかりだったけれど、仕事は保証されていたし、今も保険も年金もしっかりもらえるし。」父は昭和13年生まれの68歳、もろに高度成長を担った世代です。

この父親との対話のおかげで、日本の企業保護型社会主義の崩壊と、「煽られる不安」についてその後もつらつらと考えさせられています。若い世代のネット右翼や、メディアで煽られる不安というものは、多分に日本の社会経済的な構造の変化、つまり今現出しつつある新自由主義に起因しているとわたしは考えているからです。

比較的教養もあり、ものを考える習慣のある父でさえ、メディアで物知り顔な「評論家」が「最近はおかしい」と言えば、「確かに昔より最近のほうがおかしい」と信じてしまう。こういう「不安」に付け込んで石原のような人がのさばる土壌が形成されているのを身近に見せ付けられ、私も寒々としたものを感じました。

ひとつには経済的に先行きの見えない不安がある、(雇用、年金、社会保障は?)という社会の問題があり、ひとつには「自由な社会を制御せねば」という権力側の要請があるのでしょう。

ちょうど「犯罪不安社会」という本が「マガジン9条」の雨宮処凛さんのコラムで紹介されていました。余裕ができたら読んでみようと思っています。
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テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済

この記事に対するコメント
親父殿~(苦笑)
私にもよく似た経験があり、目を白黒させたことがあります。
性犯罪のことで、「昔はこんなのなかったけど……」と親父殿、「けど、強姦犯罪がもっとも多かったのは、親父の20歳代のころだよ」と応えた私。

これはひょっとして、強姦事件が彼の中で「ありふれた犯罪」と分類されているからかも知れません。あくまで彼の主観において、「不正常な」犯罪が最近増えたといいたかったのかと思ってます。
(許せ、あなたを誹謗するつもりではない>我が親父どの)
規範意識のズレ、といえばいいのでしょうか……。

>ひとつには経済的に先行きの見えない不安がある、(雇用、年金、社会保障は?)
さらに、税金がどこまで上がるのだろう、という不安もあることでしょう……。
財政破綻のウワサが政府に立っている今、「債権者」である国民(という不思議な勘違いをしている)が我先に、自分の取り分を確保しようとしているように見えて。

そして、その過剰反応が、不安を加速させているのも事実で、
「distrustが、経済社会の発展を妨げている」
という、ムハマドユヌスさんの指摘(中日新聞にかつて載ってました)が身に染みます。
【2007/04/13 01:35】 URL | デルタ #JnoDGgPo [ 編集]

デルタ様
遅ればせながら、、コメントどうもありがとうございました。

古代の遺跡にも「いまどきの若者は」うんぬんという碑文が残っているらしいですからね。「昔のほうが良かった」というのは古今東西変わらぬ心情なのでしょう。

批判に終わらずに「不信をぬぐい信頼を醸成する」方向性を築きたいですね。

【2007/04/16 18:03】 URL | みーぽん #- [ 編集]


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防衛庁元幹部の「護憲論」

現在、読んでいる『我、自衛隊を愛す故に、憲法9条を守る』かもがわ出版(2007)から、小池清彦さん(新潟県加茂市長)の発言を紹介させていただきます。小池清彦さんは「防衛庁元幹部」の立場から憲法第九条の大きな意義を認め、「平和憲法は国の宝」であり「今こそ平和憲 喜八ログ【2007/04/11 20:44】

人間として生きたいと思った男

少子化日本と言われるようになって随分と日が経つ。1.2台にまで落ちた日本の出生率が劇的に改善する兆しはみえない。それはそうだろうと思う。現代の新自由主義の一番悪辣なところは人間を商品化しすぎたところにあると思う。資本が人間を商品と見做す行為は昔からあった 美しい季節とは誰にも言わせまい・・・・【2007/04/12 18:51】

プロフィール

みーぽん

Author:みーぽん
複数の外資系秘書を経て英語通訳者に転身、2007年に夫の地元カリフォルニア州サンタクルーズに引っ越しました。
2年間こちらで環境金融の会社のアドミ&会計を担当した後、2009年からフリーで通訳・翻訳をしています。
TwitterのIDは@miepongです。



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